KOH-I-NOOR

コヒノール

鉛筆の物語

ヨーゼフ・ハールドムット（1758年～1816年）は非常に才能のある人で、建築に秀でており、多くの発明の考案者でもありました。今日でさえ彼を有名にしているものの1つは、黒鉛を粘土と混合して鉛筆を作るプロセスの発明であり、そのプロセスのおかげで、利用可能な材料から同じ品質を維持したまま、鉛筆を大量に製造することができるようになりました。このいわゆるウィーン・メソッドは、未だに世界中で鉛筆の製造に用いられています。彼がウィーンで設立した工場は、孫の時代になってから、特に原料倉庫により近い南ボヘミアのチェスケー・ブジェヨヴィツェ市に移転してから、隆盛を極めました。このL.＆C.ハールドムットの工場は、19世紀半ばからその場所で操業し、これまでにない急成長を経験しました。

創業者の孫フランツは、黒鉛粉砕機を改良して原料のより良くより速い処理を実現することにより、黒鉛芯の製造技術をさらに向上させました。また、これらのいわゆる「チェコ粉砕機」は、黒鉛と粘土の比率や粉砕時間を変えることにより、様々な等級の硬さを作り出すことができました。この時代に製品の範囲が拡大しました。鉛筆の硬度のマークに関する新しい基準を導入したのは、フランツ・ハールドムットでした。柔らかい鉛筆にはB、中間の硬さの鉛筆にはHB、硬い鉛筆にはH、特殊な速記用鉛筆はFと、それぞれ文字のマークが付けられました。

HはHardtmuth（ハールドムット）、BはBudweis（バドワイズ）、すなわちチェスケー・ブジェヨビツェ市のドイツ語名、FはFranzを意味しています。その後、多くの外国メーカーがこの基準を引き継ぎましたが、それらの文字の由来はしばしば誤解されています。同様に、同社の世界で最も名高く最も知られた製品は、フランツ・ハールドムットの名に関連付けられています。19世紀後半に彼は、ダイヤモンドの名称にちなんで名付けられた完全に不定型の黄色い鉛筆を発売しましたが、それは瞬く間に世界的名声を獲得し、それ以来品質の代名詞となっています。この黒鉛鉛筆は、今日もなお製造されています。